うどん

昼ご飯にうどんを打つ。

夜御飯に麺を仕込む。

ブラジルに来てから私の台所仕事に麺作りが加わった。

はじめはなんかめんどくさそうな気がしたのだけど

中華麺の作り方を見ていたら,中国では小麦粉でいろんな

物を作る事を知った。

そういえば当たり前ではあるけれど

肉まんなどの蒸し物や、餃子、そしてラーメンに和え麺など

全て小麦粉一つから作られている。

そんな家庭料理の在り方をみているうちに、麺というハードルが

グンと下がった気がしたのだ。

日本人が毎食お米を炊くように、中国では毎食麺を作る、粉をこねる。

なんだ、私たちと一緒じゃないか。

自分の習慣は簡単そうに思えるのに、やったことのない

人の習慣は難しそうにみえるものだ。

けれど一度それが板についてしまえば習慣となり当たり前になる。

その一歩を踏み出すが留まるか,それだけの違いだ。

 

まぁそうはいっても、毎食はできないし、お米の方がはるかに

体になじんでいるけれど

「あ、今日はうどんつくろっかな。」という言葉が気軽にでてくるように

なるのは嬉しい。

しかもうどんってやつは、繊細じゃないからありがたい。

粉をわしわしこねて、寝かせてまた伸ばす。

切るのだってなんとなく同じになればいい。

蕎麦のように麺が均一でなくてもおいしくできるからありがたい。

私たち夫婦は二人とも麺をうつのだが、

私は断然うどん、麺派だ。

そして主人は断然蕎麦派。

性格の違う夫婦って言うのはこういうところでも役に立つ。

というわけで最近は専ら私が麺担当となりわしわし

粉を捏ねておる訳です。

 

またそんな新しい習慣の背中を押してくれたのはブラジルの食事情も

あるだろう。

私の住んでいる街ではそんなに日本の食品を買えないし、

乾麺はあっても生麺、中華麺、ましてやうどんなど

売っていない。

はじめはなんて不便な街なんだ!とがっかりした物だったが

そういうときこそ発想の転換。

なんとかある物で作ればいいじゃんってことになる。

追いつめられれば結局人は何でも出来るんだろう。

昔の人がよくクリエイティブでいられたのは物がなかったからだ

なんて聞くけれど,それは本当だなと最近よく思う。

ハングリーであるということは自分を随分飛躍させてくれるものだ。

実際、本来怠け者のわたしもこのハングリー、不便という状況の

お陰で随分いろんなことができるようになった。

 

ともあれ、こうして麺を自分で作るのが楽しくなってきたのも

この不便の賜物。

ありがたきブラジル不便ライフ。

しかもコシのあるしっかりしたできたての麺を食べられるこの

幸せ。自分の手で作ったという達成感。

ビバ不便。ビバ小麦粉。

ちまたではグルテンフリーなんてことが流行っているし

アンチエイジングには粉物が大敵だって事,百も承知だけど

自家製麺にはそれをしのぐ魅力があるのだ。

 

こうして今日の昼もうどんをこしらえた。

ただのザルうどんなのにみんなどんどん食べる。

4人前で600gのうどんを作ったのだけど予想より無くなるのが早い。

何故かと思ったら、赤ん坊と思っていた一番下の坊やも

エンドレスでうどんをほうばっていたのだった。

もう彼も一人前に勘定しなくてならないのだろう。

これから一体一度にどれくらいうどんをうったらいいのだろう?

途方に暮れるような気持ちと何処か懐奥深く満たされるような

嬉しさとともに今日の昼ご飯は過ぎていった。

 

2 コメント

  1. alzenka

    こんにちは、
    「うどん」の記事美味しく楽しく読ませて頂きました!
    そうそう、「不便の賜物」。この言葉は、わたしがフランスの山奥に住んで第一に学んだ言葉です。だから、マクロビオティックに出会え、日登美さんにも「one day’s」 の講座でお目にかかることが出来た、出会いを引きよせた「賜物」。
    是非、「日登美さんの麺」、レシピで紹介していただけませんか?

  2. 日登美

    alzenkaさん、麺レシピ、後日紹介しますね!