おいしい、について。

今我が家にはブラジル人のゲストがステイ中で

一緒に時間を過ごしているといろいろと面白い発見がある。

 

今朝一番下の子供にコーンフレークをスナックてあげていた。

この国では小さい子供にあげられるようなスナックが

ほとんど買えない。(日本のマクロビオティックを

基準にするのは到底無理なんだけど、一般的な日本人としても)

そんな中でもこのオーガニックコーンフレークは一応お砂糖も少し

使っているようだけど甘みはほとんどなく、フレークはしっかりと

かみごたえもあり、何よりこの国で一番難しいと思われる

穀物を食べているという感じがして私は気に入っている。

(というのも、ブラジル人はほとんど肉と野菜、クリームや乳製品で

満腹にするような食事が基本なので穀物を主食としていない。

確かに険しい熱帯ジャングルの環境で伝統的にも米や麦や雑穀が育つわけも

なくそれはそれでいいと思うのだけど)

ともあれ、うちのちびがそれを食べているとこのゲストの女性に

コーンフレークを差し出して「どうぞ」とあげた。

彼女は「Obrigada」といって食べるや否や、

「何これ?酷い味じゃん。どうしてこんなもの子供に食べさせてるの?」

と言った。

彼女の事を良く知る私達夫婦からするとなかなか面白い意見だった。

「だって、ケロッグとかもっとおいしい味するの一杯あるじゃない。

だいたいこんな酷いあじのコーンフレークなんて食べたこと無いし

どうして食べるのかわからないわ。確かに、ケロッグとかには変な人工甘味料も

使われてるけどでもうんとおいしいからね。」と続けたのだった。

 

「う〜ん。なるほど。」

私は彼女の意見が面白くて大笑いしてしまったけど彼女は大マジだった。

で、別にお互いに気分を害したりもしなかったのは、意見の違う人がいる

ことが当たり前のこの国の良さかもしれない。

 

ともあれ、私がそこで思ってたのは「おいしい」とは何か?ということ。

彼女はこんな甘くもないフレーク,馬の餌みたいなフレーク。とズバリ

言いのけた。

確かにちまたでヘルシーと言われている食べ物は時々本当に

酷い物があるかもしれない。けれどどこかで「これは体にいいもの。これは

オーガニックだから、これは高かったから美味しいに違いない。」という

マインドや思考で物を食べてしまうことが特に健康に気を使う人、ヘルシー

コンシャスの人には多いように思うし、もしかすると端からみれば

私もそのうちの一人なのかもしれない。そんな中で食に関してなんのこだわりも

持たない彼女のストレートな意見はなかなかおもしろい物だったのだ。

そう。こだわりを持たないということ。それが彼女の意見のなかで

もっとも信頼出来る部分だったのかもしれない。

そして、良い,悪い、のジャッジを無視して自分の好きな事を好きと言える

おおらかさも。

健康や良いことを、と思うほどに自分の素直な感覚から遠ざかっていることが

ないだろうか。

こだわりを持つことは美徳とされる部分も十分承知しているけれど

長所は常に転じて短所になるように、このこだわりもよく気をつけていないと

あっという間に自分の手綱をはなれて一人歩きしてしまうくせ者だと

私は思っている。

そういう意味で、このコーンフレークは美味しくないのかもしれない。

 

でも私はこのコーンフレークの自然な美味しさがとても好きだ。

健康かどうかをなくしても、オーガニックでなくても美味しいと思って

食べていた。だから私のおいしいと彼女の美味しいは多分ちがうところに

あるのだと思う。

 

また往々にして、ブラジル人のおいしいの感覚はマクロビオティックが中心の

味覚とはかけ離れているし、それを理解してくれる人は少ない。

彼女のように甘いなら甘い、肉なら肉。とはっきりとしてたっぷりと重みが

あって味がしっかりとしているものを美味しいと感じるようだ。

そんな時日本人の私にはうまみ,という物の感覚が日本人のおなかを満たす上で

とても重要なんだって気がついた。ブラジル人はタンパク質が十分な食事で

おなかも心も満たされる。日本人は出しやうまみの効いた味がないと

満足出来ないように思う。だから日本にはあんなに繊細に美味しい伝統の塩や

味噌や醤油があり、それがあれば食事のことが足りてしまうほどの満足感が

得られる。ブラジルではそういう美味しいじっくりと発酵させたり、

手間をかけた塩や調味料が存在しない。塩も醤油もただしょっぱい。

これは熱帯と温帯のお国柄の違いだろう。

そして日本人のわたしは穀物を噛み締めてうまみを,栄養を吸収して育って

きた。けれどブラジル人はそうではない。当然おいしいの基準が違ってくる。

 

我が家の子供たちはこのコーンフレークを食べたとき同じく

まずいといった。

オーガニックでももっと砂糖がたっぷりしているものがあるので

(いや、うちの子はケロッグでもうまいと言って食べるだろう。。

そこがまたおいしい。の秘密である。この美味しいの秘密を

食品会社はしっかりと捕らえているんだからすごい。)

そのほうが美味しいと思ったみたいだ。これは素直な意見だと

言えるだろう。この万人を一瞬にして「うまい」と思わしめる

人工的なうまさ、というのは本当に厄介だなぁと思う。

この罠にはまってしまいたくないなぁ、はまってしまって

ほしくないなぁと願ってやまない。

とはいえ、既に上の子達は10歳以上の子供ばかり、味も幼児期の子供が

食べる物とは変わってくる。この穀物感たっぷりの甘みのない

コーンフレークを美味しく食べてくれるのは末っ子のユニオと

私、そして穀物をしっかり食べて育った主人だけのようだ。

 

ともあれそんな風にして、今朝は「おいしい」ということについて

思いを巡らせていた。

人それぞれ違っていい。

良い、悪いのジャッジに自分がコントロールされずに

頭でなく心から

本当に自分な好きなもの選んでいけるのは素敵なことだ。

だけどやっぱりわたしは自然なものから

美味しいと思う物を選びとっていきたいと思う。

そして今はいろんなおいしいを体験中の子供たちにも

最後には本物が美味しいと感じてくれたらいいなぁと

願ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

4 コメント

  1. yoshi

    「ブラジルの我が家」読んでいます!
    お子さんたちの逞しさ、異国での生活…楽しいことばかりではないのでしょうが、ちょっと羨ましいです!
    「パパ、遺伝子組み換えってなあに?」という映画をみました。食べ物のこと、息子にも教えながら、私たち大人も学ばないといけないですね。
    クーヨン5月号も読みました!ガールズちゃん、日登美さんにそっくり!

  2. しょう

    こんにちは ブラジルの我が家 私も買いました 色々経験することで お子さん達は たくましく育ってくれそうですね

  3. よしの

    お久しぶりです!とっても興味深い内容でした。「美味しい」と思う感覚は香りや味、そのものの温度や見た目、それから場所やそれを一緒に食べる人などなど、経験の積み重ねで形成されていくものなのかなとも思っています。やみつきになる味を企業もみな追及していくけど、母も家族を虜にするような母の味がつくれたらいいなぁと思います。私なんか毎日手抜き料理ばかりだからいつかお母さんのあの料理が食べたいなんていってもらえるように時々はちゃんと作ろうとブログを読んで思いました!ありがとう!

  4. 日登美

    みなさま、拙著をお読みいただいているようでありがとうございます!

    おいしいについての感想も。
    そうですね、遺伝子組み換えから種のこと、添加物や農薬、自然のはずの食べ物の自然でなくなってる部分についてもっと真剣に考えなくてはって思いますね。
    それも含めておいしい。につながるものね。
    そして、よしのさんのいう通り、美味しいは一緒にいる人、雰囲気、場所、記憶、など目に見える部分と見えない部分両方で感じる物だなぁと私も改めて思いました。
    おいしいって深いね。