アボカド

待ちに待ったアボカドの季節到来。

ただ今道行く木々にはたわわにアボカドが実っている。

いつもそこを通りがかっては「一つ捥いでみましょうか」

という気分になるのだが一応柵で囲われている

誰かの敷地なので「やっぱりだめよね。」と自分に

言い聞かせあきらめる。

何故か外国にいると良くも悪くもいつもの自分の常識のたがが

外れるような事がある。

例えばもし日本にいたなら絶対食べないようなジャンクフードも

率先して食べてしまえたり、知人の話だがとても真面目なおばあちゃんが

外国に旅行に行った時になんと車に乗って走り行く道すがら

ゴミをポイ捨てしていたという。恐るべし外国という名の魔。

いつもなら絶対しないのに、何故か心が緩む外国暮らし。

そんな日常と非日常の狭間でつい他人の柵の中のアボカドを

捥いでみたくなる今日この頃なのだ。

 

あぁ。いけないとはわかってるのに目はアボカドを捕まえる。

別れを決めたのに捨てきれない恋人の思い出のごとき

ブラジルのアボカドたち。頭の中では松田聖子の「抱いて」

が流れている。How can I stop loving you?

アボカドひとつでここではラブストーリーがうまれる。

多分暇なんだろう。

あんなに実っているのに誰も見向きもしない

この柵の中のアボカドパラダイス。

誰が収穫するのか、それともしないままなのか。

行く末が気になりつつ今日も後ろ髪を引かれながら

その場を立ち去る。

 

そんな酷い人目惚れのようなアボカドの旬。

いつか家をもつなら絶対1本うちに植えようと心に決める。

ほかにもマンゴー、パッションフルーツ、ジャブチカバ、バナナも絶対。

と夢は膨らみ想像は遥か彼方へ歩き出す。

 

そうこうしながら甘く苦いアボカド熱の時間を噛み締めていると、

仕事帰りの主人が友人の家から山のようにアボカドをもらってきた。

渡りに舟とはこのことか。

「まぁ、こんなに沢山!」遠距離恋愛中の恋人が

やっと再会したときのような喜びに鼓舞しながら

ずっしり重たいアボカドをかごのなかに納める。

まだブラジルに到着したばかりのころに旬の終わりを

迎えたこのアボカドを頂いたのを思い出す。

日本で見る物の3倍も4倍もあるかと思われる大きく

ずっしりしたアボカド。

食べるとクリーミーで甘く、ねっとりとした油を含み且つ

フレッシュなプラーナを放つこのアボカドに今までの概念を

覆されたような思いがしたものだった。

それが目と鼻の先の庭でもちろん無農薬無肥料で

ブラジルの照りつける日差しと大粒の雨を吸い込んで

こんなに立派に育つのだ。そんな自然の恵みの驚きと喜びを

初めて直に体験したものこのアボカドだった。

その頃彼女の庭のアボカドの木には今期最後の力を

振り絞ったようにわずかな実がぶら下がり旬の終わりを告げていた。

それでも初めてアボカドの木を見た私たちは大興奮していたし、

子供たちは木に登り、身をかくすように穫られにくそうな場所に

残されたいくつかの果実を収穫させてもらい大喜びしたのだった。

あれからもうすぐ一年か。

 

初めて見る旬真っ盛りのアボカドの木には何だか想いがひとしおだ。

私たちもこのアボカドのように自分の内に毎年見えない果実を

実らしていけるだろうか。

こうして次から次と季節ごとにたわわに実るブラジルの木々に

私は今も魅了され続けている。

 

 

2 コメント

  1. Yamada

    わはは!!
    恋してますね~
    せいこちゃんの曲はよくわかりませんが…笑
    それにしても、すっごくきれいな青い空です!!

  2. 日登美

    うん。今ねブラジルは冬で殆ど毎日こんなきれいな青空です。
    お洗濯が良く乾いてうれしい。。ととても現実的なことを思って
    しまう私です;)