野焼きにご注意

秋空広がるブラジル。日本の裏側でも秋の空は高く広い。

空気もからっとして、さわやかな澄んだ風が気持ちよく

お洗濯物が良く乾くので私としてはとても嬉しい。

夏草が伸びきってそこここの牧場では草を処分する為に

野焼きをしているようだ。

牧場の草を刈るのは大変だから燃やしちゃおっか。ってこと

なのか。

 

とにかくここではよく牧場や広い空き地がところどころで

火をつけられて燃やされている。

それがまた随分ワイルドなやりかたで、我が家の隣の牧場も

ある時草を燃やす為に火をつけていたのだけどかなりの至近距離で

燃やしてるから一瞬ほんとうに火事かと思ったほどだった。

いや、火事にならなかったとは言え、煙に巻かれる我が家の

様子は二次被害さながらだったと言えよう。そんな事合法なのか?

ちょっとお尋ねしてみたい。

 

またある時には我が家の向こう側に見える牧場を燃やしていたらしく

私たちの家からもはっきりと炎が見えていた。

子供たちは「あ、火事だよ火事だ!」と興奮していたが

「違うよ,ただ野焼きしてるだけでしょ、いつものことよ。」といって

放っておいた。

そしたらしばらくして消防車の音が聞こえ,遠く向こうの丘に何台も

次々と消防車がやってきてた。

子供たちは「やっぱり火事だったんだ〜!」と不謹慎にも嬉しそうに

消防車の数を数えている。どうやら予想以上に火が強くなり手に負えなくなったらしい。

次の日にその辺りを通ったら牧場の横にある道路際まで真っ黒こげに燃えていた。

その辺の小屋もいくつか燃えちゃったみたいだった。

けれどここでは野焼きの焼き過ぎは「昨日飲み過ぎちゃったんだよね。」

というサラリーマンの二日酔い感覚でさらりと過ぎていくのだった。

 

そして先日極めつけに大失敗の野焼きを発見した。

学校の帰り道、大きな会社の向かい側にある牧草地。

両側通行の一本道を挟んで右手に会社、左手に牧草地があり

牧草地沿いに誰でも車を停められる駐車場とおぼしきスペースがある。

ここは朝には会社に来る人で片方の道が渋滞するほど

車通りは多い。そしてこの駐車スペースにもだいたいいつも

車が停められている。

さて、帰宅途中広大に広がる赤土牧場の焼きあとをみながら

ふと目をやると牧草地沿いにあるあの駐車スペースとおぼしき

場所も黒々と焼けているのが目に入った。

なんとそこにはまるで映画の爆破スタントを終えたあとのように

無惨に燃え残った車が二台放置してあった。

野焼き大失敗。

「あぁこの車の持ち主は一体どうしただろう。」

哀れでならない。

ブラジルではこんな風に自分の身に降り掛かったらと考えただけでも

恐ろしくなるような出来事がわりと普通に転がっている。

本当に実際こういう被害にあった人は一体どうしているのだろう?

といつも不思議に思っている。

帰宅しようと思ったら車が燃えていた。なんてシャレにならないじゃないか。

でも「歩いて帰れるから。」とか言いそうでそれもある意味怖い。

そういえば最近ワールドカップ直前になのに交通機関が整っていない

ブラジルに対して誰かが「こんな状態で観客の輸送はどうするんですか?」と

問いただしたらしい。その時のブラジル政府の答えが

「あ、でもブラジル人は歩くのが好きだから大丈夫です」

だったと聞いた。

そんな国だもの。体が元気ならなんとかなります。って

本気で思ってそうなのだ。

 

ともあれ冴え渡る秋空のまぶしさに焼けこげた車が目にしみる

晩秋のブラジルだった。

 

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