Food

おいしい、について。

今我が家にはブラジル人のゲストがステイ中で

一緒に時間を過ごしているといろいろと面白い発見がある。

 

今朝一番下の子供にコーンフレークをスナックてあげていた。

この国では小さい子供にあげられるようなスナックが

ほとんど買えない。(日本のマクロビオティックを

基準にするのは到底無理なんだけど、一般的な日本人としても)

そんな中でもこのオーガニックコーンフレークは一応お砂糖も少し

使っているようだけど甘みはほとんどなく、フレークはしっかりと

かみごたえもあり、何よりこの国で一番難しいと思われる

穀物を食べているという感じがして私は気に入っている。

(というのも、ブラジル人はほとんど肉と野菜、クリームや乳製品で

満腹にするような食事が基本なので穀物を主食としていない。

確かに険しい熱帯ジャングルの環境で伝統的にも米や麦や雑穀が育つわけも

なくそれはそれでいいと思うのだけど)

ともあれ、うちのちびがそれを食べているとこのゲストの女性に

コーンフレークを差し出して「どうぞ」とあげた。

彼女は「Obrigada」といって食べるや否や、

「何これ?酷い味じゃん。どうしてこんなもの子供に食べさせてるの?」

と言った。

彼女の事を良く知る私達夫婦からするとなかなか面白い意見だった。

「だって、ケロッグとかもっとおいしい味するの一杯あるじゃない。

だいたいこんな酷いあじのコーンフレークなんて食べたこと無いし

どうして食べるのかわからないわ。確かに、ケロッグとかには変な人工甘味料も

使われてるけどでもうんとおいしいからね。」と続けたのだった。

 

「う〜ん。なるほど。」

私は彼女の意見が面白くて大笑いしてしまったけど彼女は大マジだった。

で、別にお互いに気分を害したりもしなかったのは、意見の違う人がいる

ことが当たり前のこの国の良さかもしれない。

 

ともあれ、私がそこで思ってたのは「おいしい」とは何か?ということ。

彼女はこんな甘くもないフレーク,馬の餌みたいなフレーク。とズバリ

言いのけた。

確かにちまたでヘルシーと言われている食べ物は時々本当に

酷い物があるかもしれない。けれどどこかで「これは体にいいもの。これは

オーガニックだから、これは高かったから美味しいに違いない。」という

マインドや思考で物を食べてしまうことが特に健康に気を使う人、ヘルシー

コンシャスの人には多いように思うし、もしかすると端からみれば

私もそのうちの一人なのかもしれない。そんな中で食に関してなんのこだわりも

持たない彼女のストレートな意見はなかなかおもしろい物だったのだ。

そう。こだわりを持たないということ。それが彼女の意見のなかで

もっとも信頼出来る部分だったのかもしれない。

そして、良い,悪い、のジャッジを無視して自分の好きな事を好きと言える

おおらかさも。

健康や良いことを、と思うほどに自分の素直な感覚から遠ざかっていることが

ないだろうか。

こだわりを持つことは美徳とされる部分も十分承知しているけれど

長所は常に転じて短所になるように、このこだわりもよく気をつけていないと

あっという間に自分の手綱をはなれて一人歩きしてしまうくせ者だと

私は思っている。

そういう意味で、このコーンフレークは美味しくないのかもしれない。

 

でも私はこのコーンフレークの自然な美味しさがとても好きだ。

健康かどうかをなくしても、オーガニックでなくても美味しいと思って

食べていた。だから私のおいしいと彼女の美味しいは多分ちがうところに

あるのだと思う。

 

また往々にして、ブラジル人のおいしいの感覚はマクロビオティックが中心の

味覚とはかけ離れているし、それを理解してくれる人は少ない。

彼女のように甘いなら甘い、肉なら肉。とはっきりとしてたっぷりと重みが

あって味がしっかりとしているものを美味しいと感じるようだ。

そんな時日本人の私にはうまみ,という物の感覚が日本人のおなかを満たす上で

とても重要なんだって気がついた。ブラジル人はタンパク質が十分な食事で

おなかも心も満たされる。日本人は出しやうまみの効いた味がないと

満足出来ないように思う。だから日本にはあんなに繊細に美味しい伝統の塩や

味噌や醤油があり、それがあれば食事のことが足りてしまうほどの満足感が

得られる。ブラジルではそういう美味しいじっくりと発酵させたり、

手間をかけた塩や調味料が存在しない。塩も醤油もただしょっぱい。

これは熱帯と温帯のお国柄の違いだろう。

そして日本人のわたしは穀物を噛み締めてうまみを,栄養を吸収して育って

きた。けれどブラジル人はそうではない。当然おいしいの基準が違ってくる。

 

我が家の子供たちはこのコーンフレークを食べたとき同じく

まずいといった。

オーガニックでももっと砂糖がたっぷりしているものがあるので

(いや、うちの子はケロッグでもうまいと言って食べるだろう。。

そこがまたおいしい。の秘密である。この美味しいの秘密を

食品会社はしっかりと捕らえているんだからすごい。)

そのほうが美味しいと思ったみたいだ。これは素直な意見だと

言えるだろう。この万人を一瞬にして「うまい」と思わしめる

人工的なうまさ、というのは本当に厄介だなぁと思う。

この罠にはまってしまいたくないなぁ、はまってしまって

ほしくないなぁと願ってやまない。

とはいえ、既に上の子達は10歳以上の子供ばかり、味も幼児期の子供が

食べる物とは変わってくる。この穀物感たっぷりの甘みのない

コーンフレークを美味しく食べてくれるのは末っ子のユニオと

私、そして穀物をしっかり食べて育った主人だけのようだ。

 

ともあれそんな風にして、今朝は「おいしい」ということについて

思いを巡らせていた。

人それぞれ違っていい。

良い、悪いのジャッジに自分がコントロールされずに

頭でなく心から

本当に自分な好きなもの選んでいけるのは素敵なことだ。

だけどやっぱりわたしは自然なものから

美味しいと思う物を選びとっていきたいと思う。

そして今はいろんなおいしいを体験中の子供たちにも

最後には本物が美味しいと感じてくれたらいいなぁと

願ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

麹作りinBrazil

そういえば甘酒を食べれなくなってもう

かれこれ2年ほど。

ブラジルに来る時に甘酒は持って来れなかったし、麹を

ちょっと持ってきたけどもったいなくて甘酒には使えず。

前回日本から一つだけ甘酒かって帰ったけどまだもったいなくて

食べれず=)

でもね、麹を作ってみたい!とおもい麹菌を買ってブラジルに

帰ってきたのだぁ〜!

そんで今旦那さんが出張中で暇なのでやってみまひょ、ということで

やりました。麹作り!

といっても日本のように温度管理出来る物が簡単に手に入らないし

発泡スチロールの箱でさえスーパーでもらえる訳もなく

(ブラジルでは魚など殆ど売ってないから)ましてや売ってる所

みたこともなく。

なんとか家にある物でやってみることに。

というわけでクーラーボックスをクーラーでなくて保温でつかうことに。

そして肝心の麹の作り方ですが、こちらは日本にいた時に

布作家で種まき人の早川ユミさんにお会いした時に

「私もブラジルで麹作りたいんですよ〜」なんて話したら

「私の新しい本に簡単な作り方のってるからやってごらん〜」って

おっしゃって下さり、ご親切に本まで送ってくださり、ただいま熟読中の

こちらの本から作ってみました。

種まきびとの絵日記 はるなつあきふゆ 著者 早川ユミ

ユミさんのこのご本ではざっくりしたレシピを手書きのイラストで

書いて下さっていてわたしにはぴったり。

そのほか田舎暮らしの季節の色々がたっぷりと絵日記スタイルで

描かれておりブラジルで読みながら美しくたくましい日本の田舎暮らし

に思いを馳せる日々なのです。ほんとこの本、おすすめです。

 

ともあれ麹初心者。難しいことぬきにしてやってみましたよ。

この難しいこと抜きってとこが肝心=)

うまく行くのかちょっと不安も有りましたが試しに1キロ仕込み

ました。

ユミさんはお米が入ってる厚手の紙袋のような物のなかで

麹を作ってらっしゃるのですがここにはないから

パン屋さんでもらった出来るだけ厚めの紙袋を再利用。

1キロのお米の半分は紙袋で,半分はこれまた今回の

日本行きの戦利品。発酵マシーンを使って保険をかけてみました=)

このタニカのヨーグルトメーカー我が家では納豆作りにも

活躍中で海外在住者には結構便利じゃないかと思います。

米を浸水して、水揚げして、蒸して、菌をまぶして毛布にくるんで

保温すること48時間。

途中で何度が手入れして完成。

保険のつもりの保温機もさすがブラジル、途中で嵐がやってきて

停電して止まってしまったりというハプニングもありつつ、なんとか

麹の甘い香りが漂ってまいりました!やった!

クーラーボックスならぬ、保温ボックスと化したボックスは

日中暑くなる車の車内に蓋を開けて入れておいて,そのなかに

バスタオルにくるんだ紙袋の麹を入れて保温。夜は寒くなるので

暖まったボックスの蓋を閉じてお部屋の中へ。

するとふわふわの菌がびっしり!それをほぐしてさらに15時間ほど。

こちらの紙袋のほうは最初の保温はあまりうまくいかなくて

もうだめかなぁっておもったけど、日中の車保温で復活!

あともうちょっとで完成の予定です。

あぁ嬉しいなぁ初の自家製麹!

ドイツから旦那さんが帰ってきたら早速みんなで甘酒で乾杯だぁ!

 

それにしても、今回麹を作ってみて思ったのだけど

なんだか赤ちゃんとの暮らしのようだなぁと。

蒸し上がったお米に麹菌をまぶす時にはついつい

口をついて歌が出てきてしまって。子守唄的な?

そしてしっかり毛布に来るんで暖かくしてあげて

時々布団から出して手を入れてあげて、そこでも

ちょいと声をかけたりして。

またしっかり毛布にくるんで。ってこの包む、くるむって

いう響きがなんとも愛おしいじゃないですか。

日本語っていいなぁ。

そうこうしているうちに麹になっていく。

暖かさと響きの中で育っていくんですね。

なんだか感動。

 

今回もいろいろな発見がありました。ビバ日本伝統食文化!

 

 

日々是お料理

あっという間に3月も終わりますね,早い!

日本ではもう桜が満開とか。いいですねぇ。

 

毎月のリズム、季節のリズム、そして週のリズム。

暮らしの中には色んなリズムがありますね。

食卓や台所でも季節の仕事がそんなリズムを

奏でてくれます。

そして毎週の台所仕事も、次第に季節と共に移ろっていくのは

忙しくも楽しいものです。

 

最近の週末はなんだかんだ作り置きをまとめてやって

しまうというお仕事が続いております。

最近は切らしていた中濃ソース作りに始まり、

このソースでお好み焼きを作ろうって思っております。

もちろん、手作りマヨネーズも日曜日の仕事。

オーガニックマーケットで生でも食べられる新鮮な

卵が売っているので日曜日はマヨネーズの日なのです。

こっちではオーガニックの豆乳は近所で買えないので

すっかり豆腐マヨ、豆乳マヨはご無沙汰しています。

 

はたまた、ブラジルでもマグロが売っていることを

発見し、といっても丸ごと一匹なので週末にそれを買ってきて

主人がさばき、刺身や切り身に分けて食べる、というのも

流行っておりまして。これも日曜日の仕事です。

日曜日のスーパーには新鮮な魚が並ぶけどそれ以外は

基本的にこの辺ではあまり魚を買うことはできません。

といことで日曜日の仕事に追加。

で、このマグロって奴は焼き魚だとぱさぱさしてて

あまり美味しく食べられない。そこで発見したのが

自家製ツナ。たっぷりのオリーブオイルに

庭でとれたハーブをたっぷり加えて,後は塩と胡椒だけ。

材料もそんなにいらないし、作ってみると結構簡単な上

めっちゃ美味しい。

保存も利くし我が家の新たな定番に決定!ということになりました〜

そしてドイツ人の主人に欠かせないおいしいパンも

たっぷり作り置きします。

ブラジルではおいしいパンが買えない!本当にびっくり

するほどケミカルな物がたっぷりのパンしか売っていません。

なので酵母と塩と粉だけで自分で作るのが一番。

といっても毎日作る訳にはいかないし、でも低温発酵を

利用して冷蔵庫でほったらかし発酵させ作れば簡単!

毎回1キロ以上の粉を使ってたっぷり焼きます。

出来上がりはまるでルヴァンのパンのような(言い過ぎ?=)

どっしりとしたカンパーニュ風のパンに。

これにはパンにうるさい主人も大満足。

これを薄くスライスして冷凍庫で保存して食べたい時には

オーブンでトーストします。これもとっても便利な逸品。

是非週の何処かでやっておきたい仕事の一つ。

そして忘れちゃならないおやつ。

焼き菓子が食べられない長女が唯一食べられるこのクッキー。

めっちゃ普通のバタークッキーですが

材料は,バター、キビ砂糖、小麦粉、塩、のみ。

このシンプルで本物の味はブラジルのお友達に配っても

必ずリピート願いされるほど。

簡単なのに止まらない美味しさ。これも週末にどかっと

1キロほど作っちゃいます。

あまりに人気すぎるのでお友達が来た時にも一緒に

作ったりするのですが、これがまた男の子と作ると

こんなことになる。。。

オーブンの鉄板に乗る前に腕に乗っちゃったりして。

まぁそれでもなんでもおしいくできりゃいいか。

ともあれ、型抜きクッキーは子供の遊びにも

もってこいのようです。

 

そして週がはじまれば、学校でのおやつ当番もあったりして。

朝から土鍋2台を出動させ、米12合を炊いて

おむすび30個をむすぶ、むすぶ。

貴重な能登製塩さんのわかめふりかけをたっぷり混ぜた

おむすびはブラジルッ子にも大人気だそうで。

こうしてブラジルにいても子供たちのおやつに

おむすびを作ってあげることが

出来るのってなんかすごく嬉しいです。

 

そんなこんなで、一週間、日曜日のお仕事に

日々のお料理を繰り返しながら

この国でもいつしか季節が巡っていくのです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今週もアップされました幻冬舎plus連載

「日登美のブラジル食頼り」

おかげさまでご好評頂いているそうで

ありがとうございます!

さて、今回は金柑の酵素ジュースです。

暖かくなってきた日本、そろそろジュースの準備に

いかがでしょうか?

 

『ブラジルの我が家 Família no Brasil!』

好評発売中です!

 

青パパイアと大根

おはようございます!ブラジルは朝です。

さて、今日もアップされました

幻冬舎plus  「日登美のブラジル食便り」

今回は青パパイアのサラダをざっくりとしたレシピで

ご紹介しています。

 

ちなみにこちら、庭でとれたフルーツ達=)

 

肉食の多いブラジルではフルーツをたくさん食べますが

特にパパイアは人気のようです。しかもパパイアって実ると

どんどん出来る!しかも別にほっといても大丈夫なので

色んなお宅の庭でよく見かけます。

っていうか,食べた種をその辺にほっといたら勝手に芽が出て

いつの間にか大きくなってるってくらいよく育つという

印象をうけます。

 

ともあれ、そんなパパイアを使ったサラダ。

日本では大根でつくったらどうかなぁと思い提案しています。

やっぱりこれも身土不二。日本は魚を多くとる環境だから

大根で魚の毒消しになります。

ブラジル、肉食、パパイア。

日本、魚食、大根。

面白い方程式のようにみえますね。

 

こんな風に見てみると、その土地で食べる物は

その土地に必要な物、適したものが自然と育つのだなぁと

当たり前のような自然の偉大さに感心してしまいます。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

日登美『ブラジルの我が家 Família no Brasil!』

 絶賛発売中です〜=)

 

 

納豆!

日本から帰ってはや一ヶ月。

実はねいいものお土産に買って帰っていたのです。

ふふふ。それは保温機。

基本的にはヨーグルトを作る為の物らしいですが

甘酒や納豆もできるよってことでこりゃぁ欲しい!と

目をつけておったのです。

そんで買ってきましたよ。

タニカのヨールグトメーカー

そんでもってやっと作りましたよ納豆!

日本に行く前にも納豆菌持ってたからそれで作ってたんだけど

いかんせん保温機能付きのジャーが6時間とかで保温が切れちゃうって

いう簡単な機械だったので失敗することもたびたびたびあって

がっくりきてしまって。

やっぱり買ってよかったタニカの保温機!

めちゃくちゃらくちんだったわぁ〜

しかもた〜っぷりと。

早速できたてをお茶碗にいれたらユニオ君たら醤油もかけずに

むしゃむしゃ。

おにいちゃんに食べさせてもらってむしゃむしゃ。

ユニオ日本人合格です!=)

それに既においしいものが分かってるのは嬉しいことです。

 

ともあれ今夜は主人のさばいてくれた

ちっちゃいマグロの切り身の焼き魚に

モロヘイヤと梅干し、胡麻入の自家製納豆に

奮発して丸中醤油をいれちゃいます!

それに小松菜のみそ汁

ごぼうと人参と切り干しのきんぴら。

という夕飯でお腹いっぱい日本を感じましたとさ。

保温機万歳!

一家に一台保温機あると便利だよ〜!

 

 

夢の弁当

ブラジルに来てからというもの我が家の食事は随分変化した。

菜食で育ててきた子供たちには欲しがるだけ肉も卵もあげる。

マクロや菜食の枠を取っ払って、ただ子供が食べたい物を

出来るだけ作ってあげるようにしてきた。

それに伴ってお弁当も変わった。

今日はパスタがいいとか、サンドイッチがいいとか

どんどんリクエストしてくる。

もちろん玄米はやだからね〜と言われる=)

それでもいい。自分の欲しい物を欲しいと言ってくれれば

それはそれでいい。そう出来るか出来ないかは別にして。

でも言われて作るのと,言わずに分かってあげるのとでは随分

違うようだ。

「これ欲しい」と言われなくても、阿吽の呼吸で入れたてのお茶を

出せる熟年夫婦のように、子供たちの「欲しい」を

汲み取ってあげられたらいいなぁと思う。

 

ある時、子供たちに初めて鳥の唐揚げを作った。すると大好評で

大騒ぎになった。

なので長女のお弁当の日に朝から鳥の唐揚げに卵焼きに、と

いわゆる代表的なお弁当メニューを作ってみた。

朝起きてきて今日の弁当をチェックする長女。

すると

「あ。夢の弁当。。。」としばし呆然としながら小声でつぶやいた。

「?何が?」と私が聞き返すと

「これ、本物の唐揚げでしょ?卵焼きでしょ?それにサラダも

ついてるのでしょ?」

「うん。作ってみた。好きかと思って」と私。

「ほら〜やっぱり。すごい。これずっと夢にみてた弁当だよ〜

こういう弁当つくってもらえたら夢みたいだなって思ってたんだよ」と

長女。

「へぇ。。」と私。

ブラジルに来る前は給食もあって弁当を作る事も少なかった。

その前は菜食でお弁当を作ってきた。

今でも「あの頃の弁当にこんなおかずよく入ってたよね〜」と

木のワッパに持たせていた弁当の話題になる事がある。

それはそれで楽しい思い出らしい。

だけど、長女はその日作った弁当をずっと夢見てたのだった。

「きっとうちは菜食だからこんなのは作らないんだよね。」と

思っていたのだろうか。

どれくらいそのお弁当を食べたかったのだろうか。

どれくらいの間そういう風に思ってたんだろうか。

 

私も私で一生懸命出来る限り子供に寄り添って弁当を作ってきた。

私の判断で食べさせたり,食べさせなかったりしてきた。

それが子供たちを守り育てもしたと思う。

だけど。

「夢の弁当」の一言は私にずしっと響いた。

毎日夢見てばかりじゃいられないのもわかる。

欲しい物ばかり与えて言い訳もないだろう。

だけど、子供それぞれにそれぞれの必要があり、欲求があり

生きる道がある。

それに私は果たして本当に寄り添ってきたのだろうか。

 

たった一つのお弁当。ただの弁当。

毎日の御飯。ただそれだけだけど

それを皆で美味しく紡いでいくというのは本当に

難しいなぁと思った。

いや、本当は難しくかんがえることなんかないのかもしれないのだけど。

 

これからもいろんな変化をしながら、子供たちに,家族に

はっとさせられながら

台所の日々を紡いでいけたらいいなぁ。

 

 

豆腐と日本

大好きな穀物コーヒーにまったりとした豆乳を

注いでお茶の用意をする。

 

日本にいれば至って普通の午後のひとときだが

ブラジルではこんなひとときを至福と言わざるを得ない。

なんてったって,まず穀物コーヒーはここでは売ってるのを

見かけないから大変貴重な代物。

手に入れるにはドイツルートで飛行機に乗せて持ってきてもらう

ことになるという密輸気分すら感じられるこの穀物コーヒー。

そう簡単に飲む訳にはいかない。

けれど一度開けた缶を大事にしすぎてあまり長い間放っておいて

いざという時に湿気ていた。なんて事になったら悲劇なので

その辺のさじ加減も加味しなくてはならない。

 

 その上我が家の近所では豆乳すら売ってない。

豆乳と言えば訳の分からん添加物と甘味料や砂糖や

フレーバーや色々入った物しか売っていないのだ。

これは牛乳代わりに料理やお菓子作りに豆乳を

使いたい私としてはかなり頭がいたい。

以前はなんとか無糖の豆乳が買えたから何かの間違いだろうと

思い、何件ものスーパーを回り

「いや、きっと来週になれば入荷するだろう。」と

淡い期待を抱きつつもう半年が過ぎた。

ブラジル人は無糖豆乳は飲まないのか?

無糖豆乳が無くて料理は困らないのか?

地震のときや停電の時に懐中電灯がないと困るように

毎日無くてもいいけれど、いざという時

無いと困るもの、豆乳。

半年は長い。長過ぎる。

私はとうとうしびれを切らして自分で豆乳を作る決心をした。

そしてその記念すべき第一作目の豆乳がこの

穀物コーヒーラテに注がれたのだった。

 

まだ生暖かくとろっとクリーミーな仕上がりの豆乳。

2リットルほど出来た豆乳を満足げに眺めつつ

「煮て食おうか、焼いて食おうか」と鬼婆が

小僧さんをなめ回すように思案に暮れるもまた一興。

早速以前からやってみたかった豆腐を作り、残りの豆乳で

久々にマクロビ仕様のレモンクリームのタルトを作った。

初めて作った豆腐は食感こそいまいちだったものの,味は

あの懐かしの日本のまめまめしい豆腐の味。

ブラジルで売ってる豆腐は「豆腐」の顔をしていても悲しいかな、

やっぱり何処か豆腐ではない。

その点、豆から出来上がって姿を現したこの自家製豆腐は

郷愁の思いが込み上がるほど日本の味だった。

 

それにしても、豆乳にしろ豆腐にしろ,いざ自分で作ってみると

なんて手間がかかるだろう。こんなすばらしいものを

1つ200円くらいで売ってくれてるなんて日本の豆腐屋さんに

感謝状を送りたいほどだ。

日本を遠くはなれると日常のそこここで、

日本文化のすばらしさ、ありがたさに行き当たる。

そしていままで見えなかった姿を見た時に

遠く離れたこの地からどうかこの文化が消えないようにと

祈りたくなる。

こうして外国の不便のなかにあることで、

豆腐を作るチャンスを得て、

豆腐のおいしさを味わい、日本食のすばらしさを改めて

感じることができたことはありがたいことだと思う。

当たり前のありがたさと愛しさは

ある時には気がつきにくいものなのだ。

きっと日本人は一生に一回くらい豆腐を作り、味噌を作り、

納豆を作って,梅干しを干してみたら良いと思う。

自分の国の食べ物を自分で作ってみる。

たったそれだけのことで海外にいなくても

きっとなにか大きな発見を自分の内側にも外側にも

出来るんじゃないかと思うのだ。

こうして今日も日本の裏側で私の台所は日本の風を感じながら

紡がれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アボカド

待ちに待ったアボカドの季節到来。

ただ今道行く木々にはたわわにアボカドが実っている。

いつもそこを通りがかっては「一つ捥いでみましょうか」

という気分になるのだが一応柵で囲われている

誰かの敷地なので「やっぱりだめよね。」と自分に

言い聞かせあきらめる。

何故か外国にいると良くも悪くもいつもの自分の常識のたがが

外れるような事がある。

例えばもし日本にいたなら絶対食べないようなジャンクフードも

率先して食べてしまえたり、知人の話だがとても真面目なおばあちゃんが

外国に旅行に行った時になんと車に乗って走り行く道すがら

ゴミをポイ捨てしていたという。恐るべし外国という名の魔。

いつもなら絶対しないのに、何故か心が緩む外国暮らし。

そんな日常と非日常の狭間でつい他人の柵の中のアボカドを

捥いでみたくなる今日この頃なのだ。

 

あぁ。いけないとはわかってるのに目はアボカドを捕まえる。

別れを決めたのに捨てきれない恋人の思い出のごとき

ブラジルのアボカドたち。頭の中では松田聖子の「抱いて」

が流れている。How can I stop loving you?

アボカドひとつでここではラブストーリーがうまれる。

多分暇なんだろう。

あんなに実っているのに誰も見向きもしない

この柵の中のアボカドパラダイス。

誰が収穫するのか、それともしないままなのか。

行く末が気になりつつ今日も後ろ髪を引かれながら

その場を立ち去る。

 

そんな酷い人目惚れのようなアボカドの旬。

いつか家をもつなら絶対1本うちに植えようと心に決める。

ほかにもマンゴー、パッションフルーツ、ジャブチカバ、バナナも絶対。

と夢は膨らみ想像は遥か彼方へ歩き出す。

 

そうこうしながら甘く苦いアボカド熱の時間を噛み締めていると、

仕事帰りの主人が友人の家から山のようにアボカドをもらってきた。

渡りに舟とはこのことか。

「まぁ、こんなに沢山!」遠距離恋愛中の恋人が

やっと再会したときのような喜びに鼓舞しながら

ずっしり重たいアボカドをかごのなかに納める。

まだブラジルに到着したばかりのころに旬の終わりを

迎えたこのアボカドを頂いたのを思い出す。

日本で見る物の3倍も4倍もあるかと思われる大きく

ずっしりしたアボカド。

食べるとクリーミーで甘く、ねっとりとした油を含み且つ

フレッシュなプラーナを放つこのアボカドに今までの概念を

覆されたような思いがしたものだった。

それが目と鼻の先の庭でもちろん無農薬無肥料で

ブラジルの照りつける日差しと大粒の雨を吸い込んで

こんなに立派に育つのだ。そんな自然の恵みの驚きと喜びを

初めて直に体験したものこのアボカドだった。

その頃彼女の庭のアボカドの木には今期最後の力を

振り絞ったようにわずかな実がぶら下がり旬の終わりを告げていた。

それでも初めてアボカドの木を見た私たちは大興奮していたし、

子供たちは木に登り、身をかくすように穫られにくそうな場所に

残されたいくつかの果実を収穫させてもらい大喜びしたのだった。

あれからもうすぐ一年か。

 

初めて見る旬真っ盛りのアボカドの木には何だか想いがひとしおだ。

私たちもこのアボカドのように自分の内に毎年見えない果実を

実らしていけるだろうか。

こうして次から次と季節ごとにたわわに実るブラジルの木々に

私は今も魅了され続けている。

 

 

フェジョアーダ

若い頃はよく色んなレストランに御飯を食べにいって

イタリア料理だの、フレンチだの、タイ料理だのと

色々食べていました。

どこの国の料理もとても美味しくて,フランスパンを食べて

チーズを食べてワインを飲んで「あ〜毎日でもいいわ!」と

思ったり、いまでもタイ料理のスパイシーさは大好きで

パクチ−毎日でも!とか思ったり、

インド料理も大好きで食べにいくといつも「インドに住みたい!」とか

思うんだけど,結局どこの国の御飯も3日、いや一週間も

食べ続ければ「やっぱりもういいです。」と思うのがおちでした。

やっぱり日本に住んで、日本にいれば御飯とみそ汁ほどおいしい物は

なく、毎日食べても飽きない最高の献立だと思ったものです。

 

そしてここブラジルにもそんな御飯とみそ汁に匹敵する最高の

献立があるのです。

フェジョアーダもしくはフェジャンオ(フェジョンともよぶ)という

マメの煮込みに細長いタイプの米、コーヴィというキャベツより固い葉っぱの

炒め物コーヴィマンテイガ(コーヴィのバター炒め)に

バタタパーリャというポテトチップの細い物をトッピングし

オレンジを添えて出されるこのメニュー。

多少の差はあれどだいたいどの家庭でも一日の何処かで必ず食べられる

日本の御飯とみそ汁定食のような物です。

みそ汁は魚で出汁をとるけれど、フェジョアーダは

マメにベーコンや牛肉をちょっと

加えて煮込み,出汁代わりにして作ります。

コーヴィのバター炒めはほうれん草のおひたしのブラジルバージョン

というかんじでしょうか。

どれも日本に比べると油も多いし、ガッツリしてるのですが

ここブラジルで食べると不思議とちょうどいい。というか

とってもおいしいのです。

そうはいっても、基本菜食の我が家でははじめはなんとか

菜食バージョンで作ってみようとやっていたのですが

なんだかそういう工夫が返ってこの美味しさの何かを壊してしまう

ような感じがして思い切ってこの本物バージョンを作ってみると

なんだかすかっとした美味しさがあってブラジル!って感じがして

とても好きになりました。

ここに来た当初は御飯とみそ汁をよく食べていたのですが、最近では

みそ汁とフェジョアーダが半々くらいの割合に。

「今日の昼ご飯何?」の質問に

「今日もフェジョアーダだよ」と答えると

「いえ〜い!」と喜ぶ子供たち。

日本では毎日みそ汁,ブラジルでは毎日フェジョアーダが

最高だ!

風土にあった食べ物,その土地の伝統食ってやっぱりおいしいなぁと

思うのでした。

 

 

 

うどん

昼ご飯にうどんを打つ。

夜御飯に麺を仕込む。

ブラジルに来てから私の台所仕事に麺作りが加わった。

はじめはなんかめんどくさそうな気がしたのだけど

中華麺の作り方を見ていたら,中国では小麦粉でいろんな

物を作る事を知った。

そういえば当たり前ではあるけれど

肉まんなどの蒸し物や、餃子、そしてラーメンに和え麺など

全て小麦粉一つから作られている。

そんな家庭料理の在り方をみているうちに、麺というハードルが

グンと下がった気がしたのだ。

日本人が毎食お米を炊くように、中国では毎食麺を作る、粉をこねる。

なんだ、私たちと一緒じゃないか。

自分の習慣は簡単そうに思えるのに、やったことのない

人の習慣は難しそうにみえるものだ。

けれど一度それが板についてしまえば習慣となり当たり前になる。

その一歩を踏み出すが留まるか,それだけの違いだ。

 

まぁそうはいっても、毎食はできないし、お米の方がはるかに

体になじんでいるけれど

「あ、今日はうどんつくろっかな。」という言葉が気軽にでてくるように

なるのは嬉しい。

しかもうどんってやつは、繊細じゃないからありがたい。

粉をわしわしこねて、寝かせてまた伸ばす。

切るのだってなんとなく同じになればいい。

蕎麦のように麺が均一でなくてもおいしくできるからありがたい。

私たち夫婦は二人とも麺をうつのだが、

私は断然うどん、麺派だ。

そして主人は断然蕎麦派。

性格の違う夫婦って言うのはこういうところでも役に立つ。

というわけで最近は専ら私が麺担当となりわしわし

粉を捏ねておる訳です。

 

またそんな新しい習慣の背中を押してくれたのはブラジルの食事情も

あるだろう。

私の住んでいる街ではそんなに日本の食品を買えないし、

乾麺はあっても生麺、中華麺、ましてやうどんなど

売っていない。

はじめはなんて不便な街なんだ!とがっかりした物だったが

そういうときこそ発想の転換。

なんとかある物で作ればいいじゃんってことになる。

追いつめられれば結局人は何でも出来るんだろう。

昔の人がよくクリエイティブでいられたのは物がなかったからだ

なんて聞くけれど,それは本当だなと最近よく思う。

ハングリーであるということは自分を随分飛躍させてくれるものだ。

実際、本来怠け者のわたしもこのハングリー、不便という状況の

お陰で随分いろんなことができるようになった。

 

ともあれ、こうして麺を自分で作るのが楽しくなってきたのも

この不便の賜物。

ありがたきブラジル不便ライフ。

しかもコシのあるしっかりしたできたての麺を食べられるこの

幸せ。自分の手で作ったという達成感。

ビバ不便。ビバ小麦粉。

ちまたではグルテンフリーなんてことが流行っているし

アンチエイジングには粉物が大敵だって事,百も承知だけど

自家製麺にはそれをしのぐ魅力があるのだ。

 

こうして今日の昼もうどんをこしらえた。

ただのザルうどんなのにみんなどんどん食べる。

4人前で600gのうどんを作ったのだけど予想より無くなるのが早い。

何故かと思ったら、赤ん坊と思っていた一番下の坊やも

エンドレスでうどんをほうばっていたのだった。

もう彼も一人前に勘定しなくてならないのだろう。

これから一体一度にどれくらいうどんをうったらいいのだろう?

途方に暮れるような気持ちと何処か懐奥深く満たされるような

嬉しさとともに今日の昼ご飯は過ぎていった。